19/02/08 00:57

シュミットカメラ

まず写真をご覧ください。
今回はちょっと難しい内容もあるので、写真だけ見ていただければ、と思います。
とにかくこんなに撮れたのは初めてです。

オリオン座の大星雲

アンドロメダ座大星雲

ペルセウス座の二重星団

撮影は氷点下10度の中、長時間頑張りました。
三脚が雪にズブズブ沈んで行ってしまうので、セッティングが狂って苦労しました。

こちらは「カニ星雲」
平安時代に超新星が爆発した後に残されたガス星雲です。
カニというよりも佐渡ヶ島のような形に見えますね。もっと大きな望遠鏡で撮影するとカニのような形に写ります。
距離は7000光年。
この超新星は日本では「客星」として記録があります。昼でも見えるほど明るかったとか。

左が普通の反射望遠鏡で撮影、右はそれを改良したシュミットカメラでの撮影です。
かに星雲は写野の中心なのでどちらも良く写っていますが、左は端のほう(右側)の星がピンボケで長く伸びています。しかし右は全面シャープな点像に写っています。

こちらはプレアデス星団の写真から写野の一番隅の角の所をトリミングしました。
左側は普通の反射望遠鏡で撮影。星がピンボケの三角形になっています。
右側はシュミットカメラで撮った物。
少し暗いですが全面均一な丸い点になっています。
広い範囲に均一でシャープな画像、というのがシュミットカメラの特長です。
少し暗くなるのは、露出時間を延長すれば簡単に解決できます。

左のが今回の撮影に使用した機材。
厚紙の簡単な工作で、ちょっとした仕掛けを作って取り付けただけで劇的に改良されました。
正式名「レンズレスシュミットカメラ」です。

本式のシュミットカメラは、特殊なレンズ(シュミットレンズ)を使用するので高価ですし、市販品はほとんどありません。
この写真は1948年にアメリカで作られた口径122cmの物です。日本には国立天文台木曽観測所に105cmの物があります。

 

しかしレンズは省略しても一応実用レベルの性能になるんですよ。
一般観賞用の写真を撮るぐらいなら十分な性能です。
普通の反射望遠鏡の筒の長さを2倍にして、先端にドーナツ板(絞り)をはめ込むだけなので簡単。
(作例は主鏡の口径11cmで絞りは9cm)
不思議ですね。もちろん専用のレンズを使えば性能は完全無欠となります。
これを発明したシュミットさんは、とても頭の良い人だと思います。
頭の良い人は難しい事をごちゃごちゃ言わずに、シンプルに物を考えますね。
広い範囲のきわめて解像度の良い写真が撮れる、画期的な発明でした。
天文機材の分野では20世紀最大の発明と言われています。
今日でも最先端で活用され、多くの新天体が発見されています。

 

明治時代の人で、昭和初期まで活躍されました。
これが彼の作業場。
大きな反射鏡を2枚同時に製作しています。
私もこんな事をやってみたい。
天文台向けの大型望遠鏡を多数製作し、その優秀性が高く評価されました。
子供の頃に事故で片腕を失ってしまい、片腕ですべての作業をこなし「片腕の魔術師」と言われました。
助手を雇うことはあまり好まず、ほとんど1人で製作したらしいです。
そのため彼のノウハウは秘密のベールに包まれていました。
ドイツの人ですが、出身はエストニアです。
エストニアってどこ?
知らなかったので地図を見ました。
旧ソ連から独立したバルト三国ですね。
フィンランドの首都ヘルシンキの対岸です。
シュミットさんが生まれたのは離島で、そこではスウェーデン語だったそうですが、シュミット家ではドイツ語だったそうです。
北欧は複雑ですね。

古い歴史のある発明ですが、
こんな簡単な物では、どうせダメだろう・・・
皆さんそう思うのか、アマチュア天文家が実用化して使っている例はほとんどありません。
ネット検索してみたら、ちゃんとした物は2件だけ。
しかも本格的に写真撮影に使った例は1件だけでした。
この方は知り合いで、何度かお会いしたことがあります。何でも作ってしまうすごい人です!しかも有名企業の要職で超多忙でした。
私より年上なので今はもう退職され、趣味と実益をという事で個人ブランドの小さな光学メーカーを起業されました!

日本中で2件だけというのは、気分が良いですね。
ですが、ネット上に公表しないだけで実用化している人は他に何人かいると思います。

私も10年前にちょっと実験してみただけで、その後は本気で作る気にならずお蔵入り。
今回はマジメに作って写真も撮ってみました。

そしたら満足いく結果が得られ、将来への希望がふくらんできて、とても楽しくなりました。
もっと改良できそうだし、良い写真がどんどん撮れそうです。
今後にご期待ください。

安いからダメだろう・・・
簡単だからダメだろう・・・
そういう先入観がいけないんですよね。

製作費用は、中古の安物望遠鏡を元に改造したので、たったの1000円でした!
しかし性能は20万円の大口径カメラレンズと同等です。
これはもう、楽しくてたまりません。

他にも隠し玉があります。中学生の頃から温めていたアイデアですが、材料は揃っているのでこれから着手します。
これもたぶん日本で一台か二台か・・・です。

こういった話題は天文趣味のサイトへ投稿すれば良いのでしょうけど、この分野日本では高齢化が著しく、私など一番若いほうです。
だから硬直化していて活気がない。どこのサイトも面白くない。
中国やベトナムなどへ行けば、若い人が多くて活気があって面白いかもしれませんね。

私はパソコンITや電気系が苦手なので、今後のテーマは”アナログ回帰”です。
たとえば「江戸の伝統工芸」のような古い技術でも、まだまだ多くの可能性が残されていると思います。
たとえば前回ご紹介したTさんが作る籠もそうです。
天体望遠鏡も古風な発想でも、まだまだ改良できると思います。

今回のは猫界の天文学者、トラ教授のご指導により完成しました(笑)

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この記事へのコメント

オリオン座の大星雲、綺麗ですね〜。
こんな写真が撮れたら興奮しちゃいますね。
ロッドさんは今に画期的な望遠鏡を発明されるんじゃ!?
投稿者: なっつばー   19/02/08 02:22
なっつばー様
写真お褒めいただき、ありがとうございます。
ですが、最近の皆さんは写真技術の向上が著しく、この程度では一般にはまったく評価されません。
機材も技術も長足の進歩をとげ、昔(学生時代の頃)からすると夢のような時代になりました。
私などまったく追いつけません。

独創的な望遠鏡を作るのは楽しいですが、それは自分だけの楽しみで、世に出ることはないだろうと思います。
だいたい、昔と違って今は天体望遠鏡はほとんど売れない時代です。
たくさんあった天体望遠鏡メーカーも、ほとんど廃業してしまい寂しい限りです。
天体望遠鏡はもう昭和の遺物のような状態です。
投稿者: ロッド   19/02/08 17:00
素人目で見てもすばらしい写真ですね!
ご自分で工夫された道具での写真ですから
喜びもひとしおですね〜。
更に隠し玉もあるとなると、それもまた楽しみです。

なんでもデジタル化が進んでいますが、
昔ながらの技術や道具は捨てたもんじゃありませんね^^

トラ教授、お疲れさまでした( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
投稿者: しーな   19/02/10 18:54
オリオン座の大星雲ですか...幻想的な色を発していますね。
他の写真も凄くきれい!
寒い中、長時間頑張った甲斐がありましたね!
カニ星雲の2枚の写真、違いがわからなかったんですが、
次の写真では、はっきりと違いがわかりますね。

中学生の頃から温めていたアイデアが、形になろうとしているなんて、
天文のことなどさっぱりわからない私でも、ワクワクしちゃいます(#^.^#)
簡単なことではないと思いますけど、トラ教授の後指導のもと(笑)、頑張ってください!
投稿者: pil   19/02/10 20:00
しーな様
写真お褒めいただき、ありがとうございます。
今後もまた頑張る気力が湧いて来ました^^¥
これから春の星座で、撮りたい面白い天体がたくさんあるんですよ。

写真も良いですが、実際に星の綺麗な山へ来て、肉眼で見ると本当に素晴らしくて感動します!!

天体写真は手間がかかるので、デジカメが進歩した今日でも一般の方には難しいです。
月だけはコンデジでも、すごく綺麗に撮れるようになりましたね。私もビックリします。

暗い星を撮るには、道具の準備と調整がかなり面倒で、こういう趣味の私でもイヤになってしまうくらいです。
まあ、板前さんだって道具(包丁)の使い方ですごい差が付くくらいですから、今後も面倒がらずに練習します。
「弘法は筆を選ばず」とか言いますが、実際には逆で道具はとても重要ですね。

トラ教授、意外と天文好きみたいです。
さっきも望遠鏡の部品を机から落として、転がして遊んでいました(笑)
無くされてしまうと大変です。
私が見ていればやらないのに、悪いとわかっていてやるのは、知能犯で陰日向ある性格ですね(≧m≦)ぷぷ
投稿者: ロッド   19/02/10 20:39
pil様
写真お褒めいただいて、とても嬉しいです。
ありがとうございます!

父のカメラを借りて、オリオン座の写真を初めて撮ったのは小学生の頃でしたが、結構綺麗に撮れたので天文雑誌のコンテストに応募したんですよ。
もちろん落選でした。
でも、たまに小学生でも入選する人がいたんですよ。

あれからン十年・・・
あまり進歩していない自分がいました。
でもやり甲斐のある楽しい趣味なので、続けて来て良かったと思います。

今回の写真はまだテスト段階なので、今後は工夫してもっと良く撮りたいと思います。
ピント合わせが難しいです。

この分野、何と言ってもドイツが一番ですね!
シュミットさんはドイツ生まれじゃないのに、ドイツへ来て活躍したということは、進歩するための素晴らしい環境があったのでしょう。
私も憧れます。
投稿者: ロッド   19/02/10 21:04
ロッドさんなんだか楽しそう♪
氷点下の中何時間も粘れるなんて好きじゃなきゃできませんよ!
専門的なことはわからないので知ったかぶりはやめますが、写真の美しいことだけは十分わかります。
アンドロメダ星大星雲は教科書に載ってるそのままの形でちょっと感動です。
アナログでも忘れ去られるにはもったいないものがたくさんあるので、ロッドさんの隠し玉が形になるようお祈りいたします(^^)
投稿者: NEccoSun   19/02/10 22:25
NEccoSun様
ありがとうございます。
これも皆さんのおかげです。1人でやっていても気力が湧いて来ません。
ブログの力って大きいですよね。趣味、もっと言えば人生の楽しみが倍増します。

アンドロメダ大星雲ですが、これは実は失敗作なんです。
途中で機材の調子が悪くなって、撮影を中断してしまったんですよ。
もっとちゃんと調整して長時間頑張れば、もっと良い写真になるはずです。

しかし自分で言うのも何ですが、今回のは拡大率が大きいので昔の百科事典に掲載されていた、天文台で撮影された写真のようで感動しました。
今後ますます可能性が広がって来そうで楽しみです!

NEccoSunさんの絵画はまさにアナログの真骨頂!!
私も見習いたいと常々思っています。
自分の得意分野で、それをなんとか具象化したいと、いろいろ試行錯誤しています。
私が思うに、昨今のいわゆる”デジタル文化”は一時の流行だと思うんです。
今時代は変わりつつあると思います。デジタルは単なる”ツール”なんです。万能ではありません。

「隠し玉」というほどの物ではないんですが、これは写真撮影用ではなく、人間が肉眼で見る双眼鏡です。
それも超大型です。すでに作例は多いですが、私のオリジナル品は他とは全然違う、安価でシンプルで高性能な物です。無駄を極限まで省いています。
投稿者: ロッド   19/02/10 23:58


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