12/02/02 22:54

鳴かず飛ばず

「鳴かず飛ばず」 とは自分のような何をやってもだめな人間のことかと思っていたら、少し意味が違うようだ。

 

ある即位した王様が「一切の諫言まかりならず。禁を犯す者は処刑す。」と布令を出した。

つまり王である自分のすることに文句を言うな、ということである。

そして、王様は3年間美女をはべらせ、酒食に耽って政務を怠り、退廃的な毎日を過ごしていた。

臣下たちは諫言することを禁じられていたので王様に注意することもできず、自然と王様のご機嫌ばかり取る佞臣が政治の実権を握るようになり、当然国は腐敗していった。

 

これを見かねたある忠臣が、王様に注意すると処刑されるのでちがう言葉で問いかけた。

「丘の上にいる鳥は三年の間、飛びもしなければ、鳴きもしません。一体これはなんという鳥でしょう?」

王様は答えて言った。

「その鳥、もしひとたび鳴けば世を揺るがし、ひとたび羽ばたけば天の極みに達するであろう。お前の言いたいことはわかっている。」

 

やがて朝廷に立った王様は百官の前で言った。

「この三年間、わたしは酒色に溺れる振りをして賢臣と、愚臣を見極めていた」

そして王様はたちまち佞臣を処刑し、賢臣を重用した。その結果国力は充実し、王様の名声は高まっていった。

 

これは中国の春秋五覇の一人、楚の荘王であり楚の国では歴代最高の名君とされている。

ここから「鳴かず飛ばず」とはじっと機会をうかがって物事を見極め、チャンスを待つという意味の故事らしい。

ちょっと徳川家康に似てるかな。

 

この故事は最近はじめて知ったが、やはり自分は何をやってもだめな「鳴かず飛ばず」なのであろう。

それを今の生活ペースが雄弁に証明している。

 

 

この荘王、もう一つの有名な故事がある。

それは「絶䋝(ぜつえい)の会」。

 

ある宴席でロウソクが風で消え、真っ暗になったとき一人の臣下が妃に触れてしまった。

妃は叫ぶ。

「いま私に無礼を働いた者がいます。私はそ者の䋝(冠の紐)を引きちぎりました。」とその者の罰を訴えた。

荘王は言った。

「灯りを点けないうちにみな䋝を引きちぎれ!」

そして犯人はわからなくなった。

 

次の戦いのとき、命を賭して荘王の身を護った者がいた。

荘王がきいたところ、その者は言った。

「あの宴席の折、王様の寛容な機転で命を助けられた者です。」

こうして荘王の名声は上がっていった。

これは北条時頼の「鉢木」に少し似ているような。

 

東西を問わず、歴史に残された逸話には今の時代では信じられないような人間形成の物語がある。

理屈ばかりではなく、少しは自分自身で学習しなければならない、とは思うのだが・・・・・なかなか。

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