19/05/30 23:41
第13回TOPOS(トポス)会議
本日(5月30日)、六本木ヒルズで、国際会議、第13回TOPOS会議が開催され私も参加しました。
今まで、野中郁次郎名誉教授、紺野登教授を中心に12回にわたり議論を展開してきました。
今回は、ある意味では原点に戻り、”人間性” にスポットをあてて議論されました。
最近の政治、経済、社会、教育、全てに共通しているのはこの、”人間性” についての問題ではないでしょうか。
以下、ご覧ください。
今回のテーマは、「〜ヒューマニティ・ベースト・ビューから考える:人間不在の日本の ”人間性” を問い直す〜」 という大変大きなテーマでした。
いくつかのキーになるなコメントを以下記します。
● ヘンリーミンツバーグ(マギル大学教授) :
世界の中で”人間性”が求められている。 子どもは人間性が高く、Communityship (コミュニティーシップ)がより求められている。 *Communityship はミンツバーグが使い始めた造語。
● 加護野忠雄(神戸大名誉教授) :
日本の企業は多くがコミュニティーを持っていたが、現在は崩壊の危機にある。多くが外国資本の影響を受け短期的な目標を追い求める会社と成ってしまった。SDGsなどで新たな目標を選び、コミュニティー化を図ることも大切。
● 野中郁次郎(一橋大学教授 TOPOS会議発起人) :
コミュニティーを形成するには、「共感」が必要である。「共感」を持つには、「文脈力」が必要である。 人は非言語的な暗黙知、身体的な共振、共感、共鳴によって察知する。これらの関係を察知し新たな関係を補完したり、転換したり、創発されたりする力を「文脈力」という。他者の心の中で何が起こっているのかを予測し、その意味を総合的に解釈する、こうした働きを適時かつ適切に行えるのが文脈力のある人と言える。
主催者のメッセージは以下の通りです。
≪いまの日本企業を見ると、ずいぶん前から「人間不在」「人間性軽視」が常態化していないだろうか。かつては日本企業を範としていた、あるグローバル企業のCEOは、こんな苦言を呈している。「いつの間にか、人間を大切にする経営から、利益や効率ばかりを考える経営に変わってしまった」。
そこで、脱機械論・人間中心の経営を訴えてきたマギル大学教授のヘンリー・ミンツバーグ氏を招聘し、神戸大学名誉教授の加護野忠男氏、そして代表発起人の野中郁次郎の3人が、コミュニティシップ、プルーラルセクター、共感といったコンセプトを交えながら、人間・人間性を大切にする経営、さらには経営の普遍性について議論する。
人工知能(AI)やロボットにまつわる議論では、自動化による人件費の削減、それに伴う労働生産性の向上といった効率主義が強調されており、AIと人間、ロボットと人間の新たな共存関係や共進化についてはなおざりにされている。これらの問題について、人間中心の社会デザインを考えるIT/AIの研究家にして実業家、免疫を研究する生命学者にして実業家、そして義足のアスリートが健常者のチャンピオンよりも速く走るという目標を掲げる義足エンジニア、といった賢慮の実践者たちと一緒に考える。
病院経営者、グローバル企業のダイバーシティ担当役員など、リアルな実践者たちを招いて、人間中心・人間性重視の実践知について、あらためて議論の場を設ける。そこでは、人間尊重を起点とした多元的なオープン・コラボレーション、人間性と経済性を両立しうるソーシャル・エンタープライズといったトピックが浮上してくる。
以上のように、第13回トポス会議では、「人間性の視点」、言わばヒューマニティ・ベースト・ビューから、経営やビジネス、コミュニティや社会の行方について考える。≫
● セッション1:経営における人間性
● セッション2:技術における人間性
● セッション3:コミュニティにおける人間性
● 総括 : 野中郁次郎名誉教授
登壇者 : 遠藤 謙(Xiborg 社長)、井上 浄(リバネスCTO)、加護野忠男(神戸大名誉教授)、亀田信介(亀田総合病院院長)、松田雄馬(アイキュベータ代表)、ヘンリー・ミンツバーグ(マギル大学区教授)、中里悠里(富士通研究所AI研究員)、バーバラ・ワイ(インテルVP)、カトリーヌ・マラブー(キングストン大学教授)、都筑沙矢香(キャスター)、紺野登(多摩大学教授 TOPOS会議発起人)、野中郁次郎(一橋大学教授 TOPOS会議発起人)
▼左:野中郁次郎先生
坂城町長 山村ひろし
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18/06/01 12:00
第12回トポス会議
昨日(5月31日)、六本木ヒルズで、第12回トポス会議が開催されました。
今回のテーマは、「社会への満足度と幸福度を高める ”オルタナティブ創造社会への挑戦」 です。
世界各地からこの分野の最先端の知見と実践知を持たれるそうそうたる方々の議論は行政にとっても大変有意義なものと感じました。
以下、共同発起人の野中郁次郎先生と紺野登先生のメッセージを掲載します。
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野中郁次郎 トポス会議代表発起人 一橋大学名誉教授
二項対立から二項動態へ
今回のトボス会議は「オルタナティブ創造社会への挑戦」をテーマとして掲げた。通常、オルタナティブは「二者択ーの」「代替の」などと訳される。企業経営、組織運営において日々直面するさまざまな矛盾、「アナログとデジタル」、「アートとサイエンス」、「安定と変化」、「人間とAl」などは、「あれか、これか(either/or)」で論じられることが多い。しかし、一見相反しているかに見える二つの概念を二項対立(dualism)としてとらえるのではなく、それを乗り越える思考の実践が重要だ。一見矛盾する考え方や手法、要素は相互補完関係にあり、二つの要素が一つの事象に共存しうる。これらを状況や自的に合うようにうまく組み合わせ両方の利点を生かし新しい価値を見出す創造的思考が重要である。
このいわば「二項動態(dynamic duality)的思考」の実践には、矛盾する要素間の関係性における本質に対する深い洞察が必要だ。現実をデジタル的に白か黒かで見るのではなく、アナログ的に白と黒の両極の連続的なグラデーションとして捉え、両極を総合する勘どころを洞察するのである。また、変化する状況や文脈に合わせて、二つの要素の「動的均衡」を探り続けることが重要である。そして、闘争を通じて他項を排除する「死」の弁証法ではなく、対話を通じて中庸を探っていく「生」の思考でなければならない。
対立項が競い合いつつも両立し、個を貫きつつ全体の調和をダイナミックに追及する「あれもこれも(both/and)」の二項動態的思考が、危機に対峙する社会、そして我々一人ひとりの生き方に求められるのではないか。
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紺野 登 多摩川大学大学院教授
「オルタナティブ」とは、伝統や確立された制度や思想に対する選択肢、代替の道のことである。「トポス会議」ではこれまで何回かオルタナティブなテーマをとりあげている。「シンギュラリティ」つまり知性のオルタナティブ。ポスト資本主義など経済のオルタナテイプ、「エイジング2.0」あるいはヒューマン・エンハンスメント(人間拡張)すなわちオルタナティブな人間。生圏倫理学(エコエチカ)、脱・一極集中、グローバルシティ、「リビング・ラボ」などオルタナティブな環境や都市のあり方である(「過去のトポス会議」より)。しかし、この数年の大きな世界情勢変化の中で、オルタナティブに正面から向かい合う要請が生まれてきたように思われる。
フランスの経済学者トマ• ピケティの「2 1 世紀の資本」 (2013)は、資本主義の格差拡大論争を世界中に巻き起こした。そこで、ピケティは社会主義者か、といった問いが少なかからずあったようだが、彼は資本主義が生み出す格差を問題にしたにすぎなかった。資本主義対社会主義、などというが、社会主義であっても格差は存在する。実は、両者は本質的に対立した概念ではなく、市場主導か国家主導の貢本主義かの違いでしかない。ところがこれらが対立概念や選択肢として捉えられて論争が起きる。しかしそこから答えはでてこない。その時これらのいずれでもない道を探ろうとするのが「オルタナティブ」だといえる。
市場が支配するのでも国家が支配するのでもない、とすれば、その一つのオルタナティブは人間や環境主導の資本主義であろう。1970年代頃から生まれた「エコロジー運動」は、これらの対立軸にこだわらない、人間と自然環境との共生や直接民主主義を主張した。西ドイツ(当時)の「緑の党」運動は、それが政治的な活動に繋がったものだ。SNSの広がりやブロックチェーンなどの技術は次の社会・経済システムを暗示しているようにも見える。
しかし、一方でこれまでオルタナティブはサブカルチャーと同義の「いかがわしさ」をまとっていた存在だった。オルタナティブ・ファッション、カルチャー、音楽(ロック)などは、時代の流れや商業主義にとらわれない前衛やアンダーグラウンドな文化を代表していた。他方、オルタナティブな教育、民間療法などを含む代替医療は、現在の制度やシステムを補完したり、共存を目指したりすものだった。いすれにせよ、それらは「中心」に対しての「周縁」に位図し、常に中心に向かって、刺激や圧力を与える存在だった。あるいは、代替エネルギーや代替技術、代替労働(多様な働き方)のように、従来の社会システムを根底から変化させつつ「持続可能性」を追求しようとする「外野」がオルタナテイプの真骨頂だった。
ところが、ここ数年の政治的・経済的・技術的な世界情勢の変化は、我々に本質的な解決や社会的イノペーションを、こうしたオルタナティブな道に求めさせるようになったといえる。それはこれまでの「オフィシャルな」未来に対する完全なアンチテーゼである。背景には政治や企業への信頼の低下現象がある。また、人工知能の台頭によって、知性そのもののオルタナティブなあり方を議論せざるをえないようになった。科学もその存在を問われるようになった。従来とは異なる思考の枠組みでの実践、価値観の逆転が起きている。月並みな表現だが「パラダイム・シフト」が現実化しているのである。もちろん、ただ一つのオルタナティブなど存在しない。多様なオルタナティブのパージョンがありえるだろう。
今回のトポス会議では、次の3つの切り口からオルタナティブを議論する。
(1)オルタナティブな社会とはどんな社会だろう。ドイツの社会学者、ニクラス・ルーマンは、現代社会が階層的な構造ではなく、人々のコミュニケーションによって多層的なシステム群として形成されるという社会のモデルを提示して見せた。これは閉塞した既存の社会に対しての変革実践のための知見ともいえる。このモデルの類推から、社会におけるオルタナティブなあり方の具現化・実践には、個々の社会システムを超えて繋げるような機能を持った社会経済セクターの存在が求められる。
ヘンリー・ミンツパーグの「プルーラル・セクター」は、こうした新たな役割を担う組織体のモデルとして意味深い。従来の一業界、一企業、一省庁の戦略や政策には限界が訪れている。そこで、産官学民の相互参画を介して、社会・経済の「リパランシング」を図るのがプルーラル・セクターの役割である。デンマークの「オルタナティブ党」は、エコロジー運動の末裔ともいえる、現在の経済・社会の代替の道の確立を目指しているオルタナティブなセクターと言える。そこではフューチャーセンターやリピングラポなどの都市の「場」における、社会的、参画的な対話的実践が重要になる。その主役は当然ながら従来のシステムの保護者ではない、女性や若者、あるいはダイパーシティの垣根のない社会だろう。
(2)オルタナティブな道の実践とは、いかにあるべきか。オルタナティブなイノベーションの実践とは既存の常識や制度に立ち向かっての新たなカテゴリーの創出であり、時として常識に挑むような生き方でもある。それは単純な「破壊的イノベーション」などでもない。個人の哲学や、長期的にわたる真剣な持続的努力が背後で求められる。彼らは、共通善や真実を追求しようとする、社会や文化のアントレプレナーである。それは企業のイノベーション、オルタナティブな社会システムの創出など、異なった分野にも共通している。
(3)オルタナティブな経済がありえるなら、企業経営やイノベーションのオルタナティブとはどのようにあるべきか。今や、本業も全てイノベーションを軸にした経営の時代に入っている。既存の延長線にある経営の知には限界があると考える方が妥当だろう。既存の競争軸にはない、オルタナティブな戦略を考えねばならない。しかしそれはアイデンティティの喪失につながるかもしれない。逆に現在忘れられた伝統的な知の意味合いが高まるかもしれない。その場合、いすれにせよその最初の問いは、「一体自分たちは何のために存在しているのか」であろう。
多摩大学大学院教授
一般社団法人Japan Innovation Network代表理事
KIRO株式会社(Knowledge Innovation Research Office)代表
知的経営変革、ナレッジマネジメント、知識、産業における事業開発、デザイン経営戦略やリーダーシッブ・ブログラム、研究所などのワークプレイス戟略等実務に即した知識経営研究と実践を行う。
以下、トポス会議のプログラム、講演者について。
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第12回トポス会議
社会への満足度と幸福度を高める
オルタナティブ創造社会への挑戦
一般社団法人Future Center Alliance Japan(FCAJ)が実施した調査の結果では、「日本の社会に満足していない」と回答した人が何と76%に上り、逆に「満足している」という人は1.7%足らずであった。
こうした「社会への不満足度」の高まりは、アラブの春、オキュパイ・ウォールストリート、最近ではブレグジットや#MeTooなどの大衆運動として噴出するだけではない。最近では、現状を修正・改善・変革する「オルタナティブ」となって表れることが少なくない。それらは、概して自生的であり、「時代の要請」と呼ぶべきものである。
ビル・ゲイツが「既存の銀行は不要になる」と予言したように、ビットコインやブロックチェーンはまさしく世界的なオルタナティブである。このほか、政治、教育、医療、福祉、エネルギーなどの社会システムにおいて、多種多様なオルタナティブが登場している。一見、デジタル技術によって制約や限界から解放された結果のように見えるが、既存のシステムや手段への「異議申し立て」と理解すべきではないか。
オルタナティブとは、通常「既存とは異なる代替」を意味し、これまでは「アンチ」「ポスト」「少数派」などと表現されることが多かった。しかし現在では、敵対・対立でも脱でもなく、むしろ相互に影響を及ぼしながら修正や進化を促す「推進力」といえる。
その方向性はすでに示されている。事実、いま生まれつつあるオルタナティブの多くが、経済的繁栄よりも、民主的で共生的な社会やコミュニティを目指すものであり、それゆえにイノベーティブである。
オルタナティブが増えるほど、変革や進歩が加速され、同時に多様性や寛容性が高まる――。
これが、第12回トポス会議が投げかける「仮説」である。今回は、代表発起人の野中郁次郎、神戸大学名誉教授の加護野忠男氏、そしてマギル大学のヘンリー・ミンツバーグ氏の3人の賢慮によるクロストークを起点に、オルタナティブが大量に創造される社会のダイナミズムについて議論する。
プログラム
講演者
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坂城町長 山村ひろし
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17/09/25 11:00
第11回TOPOS(トポス)会議
先週(9月22日)東京六本木ヒルズで、第11回TOPOS(トポス)会議が開催されました。
今まで10回まで毎回参加していましたが、今回は坂城町議会の最終日と重なり残念ながら出席出来ませんでした。 私に代わり、坂城町企画政策課の田子謙介さんに参加してもらいました。
今回のテーマは 「21世紀にふさわしい日本的経営を構想する」 です。
また、議論の前提として、「日本企業にはイノベーションが求められる」 とし、その論点として 「イノベーションに適した経営システムは」 とです。
多くのパネラーが種々メッセージを発していますが、その中で、評論家中野剛志氏の講演内容のエッセンスを田子さんからお聞きしましたので、その内容を、以下、ご紹介します。
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「イノベーションとは未来という不確実性に向けて資源を動員することである」
言い換えると・・・・・
→ リスクが大きい(成功確立が低い)
→ 長い年月を要する(簡単には達成できない)
→ 大規模な資源を要する(ヒト・モノ・カネ)
⇒ 上記3点をクリアーしないとイノベーションは起きない。
一方で日本企業の考え方は・・・
→ 何かあたらしいものに着手しようとする場合、「期待される利益」 を定量的指標に基づいて示す必要がある
⇒ 最初の段階で定量的指標を示すことは不可(cf:未来という不確実性に向けて・・・)
→ 短期的な利益を追求し評価する傾向にある(ex:株式市場)
⇒ 長期的な取り組みが困難
つまり、日本企業はイノベーションを起こしにくい条件が整っている
イノベーションによりもたらされる効果は、スタートの段階では図れないものであるから、イノベーションを起こそうとするならば、その試みを正当化するために 「壮大な夢」 として利益以外の価値で図り(ex:難病治療)、それが社内で共感され(ex:価値観・信頼関係≒閉鎖的・硬直的な組織)、長期的な取組(長期雇用)として行うことが必要
また、会場内のアンケートで以下のような意見がまとめられた
「自分が経営者ならば、ROEよりもイノベーションを推進するように伝えられるか?」
回答は、
⇒ YES:約60%、 NO:約40%
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以下、主催者ホームページの案内文を掲載します。
21世紀にふさわしい日本的経営を構想する
第11回トポス会議
半世紀前の1968年、日本は敗戦直後の8倍強という経済成長を実現し、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になった。ここまで劇的な発展を遂げた国はいまだ世界的に例がなく、当時は「東洋の奇跡」(Japanese miracle)といわれた。
この歴史的成功は、初期こそ景気や為替などマクロ経済的要因の影響が大きかったが、中期以降は、いわゆる「日本的経営」という、日本独自のマネジメント・システムの賜物にほかならない。
しかしその後、それこそ日本的経営が得意とする継続的改善は、生産現場のレベルで留まり、マネジメントの改善・進化には至らなかった。むしろ、成功の罠とバブル崩壊後の自信喪失から日本的経営を否定し、アングロサクソン流の経営手法を安易に導入してしまった(一方、欧米企業は日本企業を虚心に研究し、その長所や強みを取り込み、マネジメントの幅と深さを増していった)。
21世紀にふさわしい日本的経営を構想する――。
第2ステージを迎えたトポス会議では、この挑戦をテーマに掲げ、戦後の成長とバブル後の停滞について、一貫した論理に基づいて再検証するとともに、新しい着想や萌芽的事例を紹介しながら、日本企業らしいマネジメント・イノベーションの姿について議論する。
日本企業の中に理想形を見出したピーター・ドラッカー、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者エズラ・ヴォーゲル、『ジャパニーズ・マネジメント』の著者リチャード・パスカルなど、アメリカの経営研究家たちはなぜ日本的経営を高く評価したのか。日本的経営のエートスは改善が主であり、イノベーションや変革は例外的だったのか(もちろんその限りではない)。日本的経営を進化させることで、日本企業はその可能性を覚醒させられるのではないか――。
世界的マネジメント・グールーの一人であるヘンリー・ミンツバーグ、『新・日本の時代』(Japan Remodeled)で日本の変化のパターンを示したスティーブン・ヴォーゲル、そしてヨーロッパ・ドラッカー・ソサイエティ理事長リチャード・ストラウブ、野中郁次郎とともに日本的経営の実際を観察・研究してきた加護野忠男などのフロニモス(賢人)たち、そしていままさに新しい日本的経営を創造しつつあるビジネス・エグゼクティブたちとの討議を通じて、目指すべき針路について考える。
13時20分〜13時30分 | プロローグ |
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13時30分〜15時 | セッション1: イノベーション経営の時代の日本的経営 |
15時〜16時20分 | セッション2: 日本的経営の根幹的価値観とシステム |
16時20分〜16時35分 | 休憩 |
16時35分〜18時 | セッション3:日本の社会の潜在力と企業 |
18時〜18時30分 | 総括: 野中 郁次郎(一橋大学 名誉教授) |
18時30分〜20時30分 | ネットワーキング・セッション |
ジェローム・シュシャン |
![]() 代表取締役社長 |
---|---|
濱松 誠 |
![]() 共同発起人・代表 |
鎌田 由美子 |
![]() 上級執行役員 |
工藤 禎子 |
![]() 常務執行役員 |
中野 剛志 |
![]() |
リチャード・ストラウブ |
![]() 創設者兼理事長 グローバル・ピーター・ドラッカー・フォーラム 理事長 |
玉川 憲 |
![]() 代表取締役社長 |
スティーブン・K・ヴォーゲル |
![]() 教授 |
藤野 道格 【ビデオ・メッセージ】 |
![]() 社長兼CEO |
加護野 忠男 【ビデオ・メッセージ】 |
![]() 名誉教授 |
ヘンリー・ミンツバーグ 【ビデオ・メッセージ】 |
![]() 教授 |
コーディネーター/総括
羽田 未蘭野 |
![]() |
---|---|
紺野 登 |
![]() (トポス会議発起人) |
野中 郁次郎 |
![]() (トポス会議発起人 |
坂城町長 山村ひろし
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16/06/30 22:15
第10回トポス会議
本日(6月30日)、第10回目のトポス会議が東京六本木ヒルズで開催されました。
このトポス会議は2012年から10回シリーズとして開催されましたので、今回が最終回となりました。 今回もお招きをいただき参加させていただきました。
ますますお元気な野中先生ともいろいろお話をしました。
4年前に坂城町でもご講演をお願いしましたが、来年、久々に坂城町でお話をしていただくお願いをいたしました。
今回は 「人類世の“ヒューマン・ビルディング”」と題し、次世代に向けた「人間形成」をテーマに、未来志向の人材育成や教育論に向けたある意味では壮大なテーマに取り組んでいます。
左から:山村、野中先生、前川正雄さん(和敬塾に関する話などすばらしい講演をお聞きしました。)
以下、第10回トポス会議の趣旨など開催案内から抜粋します。
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【野中郁次郎×世界の賢人たち】
人類世の“ヒューマン・ビルディング”
― 「次世代を拓く人間」をいかに創造するか ―
第10回トポス会議
トポス会議は、2012年9月、多様な知のダイナミックなコラボレーションを起こす場として、全10回のシリーズとして始まりました。これまでの9回のトポス会議では、世界的な課題の解決に資する学際的な議論の奨励、産業人と研究者の知的協業や実践活動の支援、そして、そのための人的ネットワークの形成という趣旨に沿って、世界から賢者をお呼びし、対話を重ねてまいりました。コンピュータ科学の未来に始まり、社会やコミュニティにおけるイノベーション、安全保障、資本主義の未来など、これまで取り上げてきたテーマは、われわれ人類が21世紀をいかに賢く生きることができるか、そしていかに未来を創造し続けていくかを、多様な観点から問うものでした。
第10回の今回は、区切りにふさわしいテーマとして、「人類世の“ヒューマン・ビルディング”」と題し、次世代に向けた「人間形成」をテーマに、未来志向の人材育成や教育論に向けた対話を試みます。
「人類世」(じんるいせい:Anthropocene) は、われわれ人類の活動が地球の動的均衡システムを脅かしている状態にあることを示す言葉で、地球規模の危機の時代とも言われています。この危機を回避し、さらなる繁栄を実現するためには、地球レベルの高い視野を持って行動することが求められています。つまり、これまでトポス会議で議論してきたように、誰もが「実践知」を体現するリーダーとなり、共通善の実現に向けて日々共創することが重要になってきます。
これまでも実践知の基盤やその育成方法について触れてきましたが、節目となる第10回では、実践知と知識創造の第一歩となる「間身体性」や「相互主観性」について、日本における現象学の研究の第一人者のおひとりである哲学者の山口一郎氏をお招きし、トポス会議を主催する野中郁次郎との対話を通じて、人類の倫理性や道徳性、さらには情熱や信念の源泉について明らかにしていきます。
そして、この共創的セッションを踏まえた2つ目のセッションでは、「次世代を担う」あるいは「未来を拓く」人間を育てる環境、特に、社会的なつながりや企業での取り組みについて、ヨーロッパのリビング・ラボや、「定年のない会社」、「和敬塾」の取り組みで有名な前川製作所のご発表を通じて考えてまいります。
そして最後のセッションでは、人間の無限の可能性を広げるさまざまな取り組みについて、能のメソッド等を用いて自閉症児を支援する能楽師、既存の学校や企業の教育システムの限界を訴える教育学者、徒弟制度の意義を再発見した企業経営者などのみなさまからお話をいただき、最終回の最終セッションにふさわしく、われわれ人類が21世紀をいかに賢く生きることができるか、そしていかに未来を創造し続けていくかについて考えていきます。
(プログラム)
(パネリスト)
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坂城町長 山村ひろし
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15/11/19 05:21
第9回TOPOS(トポス)会議
昨日(11月18日)、午後、六本木ヒルズで第9回TOPOS会議が開催され、全国町村長会議の後に参加しました。
このTOPOS会議は野中郁次郎一橋大学名誉教授が発起人となって始められた、世界的な錚々たる賢者を集めて年2回開催される「知の場」(TOPOS)です。
今回のテーマは 「都市のイノベーション」― 21世紀における都市の賢さを求めて ― です。
なかなか難しいテーマでしたが大変参考になりまいた。
主催者の開催主旨は以下の通りです。
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第9回トポス会議
2015年6月、グーグルは、都市イノベーションを専門とする「サイドウォーク・ラボ」、世界中の都市とそこに住む市民たちを結びつける「インターセクション」という、2つの新ビジネスを立ち上げた。
ラリー・ペイジいわく、「都市を改善することによって、何十億人という人々の生活を向上させられる」。彼らは、元ニューヨーク副市長のダニエル・ドクトロフをリーダーに迎え、まずニューヨーク市のイノベーションに取り組むという意気込みを見せている。
アメリカの市民活動家ジェイン・ジェイコブズは、経済の発展を先導するのは国家ではなく「都市」であると訴えた。それは、都市の持っている多様性こそ、需要の創出、新しい製品やサービスの開発、雇用の創造の源泉だからである。こうした「都市の生み出す力」(いわゆる「ジェイコブズ効果」)を引き出すには、行政によるトップダウンよりも、市民やコミュニティによるボトムアップが望ましい。
このようなチャレンジは、知の多様性とソーシャル・キャピタル(社会関係資本)をテコに、まさしくボトムアップによって都市イノベーションを起こそうという試みである。言い換えれば、市民中心、そして市民参加の都市イノベーションを志向している。
この都市イノベーションは、日本にとっても大きな課題である。実際、さまざまな学術機関やプロフェッショナル・サービス会社が、都市イノベーションに関するランキングを発表しているが、日本の都市はそのほとんどすべてにおいてトップ10に入っていない。とはいえ、こうした厳しい現実は、裏返せば、伸びしろの大きさを示している。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関する一連の騒動によってあぶり出されたように、日本の各主要都市には、リ・デザインとイノベーションが求められている。しかし、我々はこれまで、都市デザインをお上任せにしてきてしまった。今後は、グーグルが先覚したように、企業と市民の共創が不可欠である。そして行政には、こうした新しい協力関係を促す施策や行動が望まれる。
第9回トポス会議では、こうした問題意識の下、都市社会学を研究するコロンビア大学教授のサスキア・サッセン氏、「エッジ・シティ」という概念を提唱したアリゾナ州立大学教授のジョエル・ガロー氏、「リビング・ラボ」の推進者の一人である欧州委員会のブロール・サルメリン氏を招聘し、東急電鉄社長の野本弘文氏、日建設計副社長の中分毅氏、京都の老舗企業細尾社長の細尾真生氏らと共に、日本の都市イノベーションのあり方について議論する。
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プログラム:
モデレーター:羽田未蘭野、紺野登
トポス1:≪グローバル都市と経済≫
ジョエル・ガロー、中分毅、サスキア・サッセン
トポス2:≪都市のオープン・イノベーション≫
ブロール・サルメリン、デヴィッド・ハーヴェイ、福田紀彦、サスキア・サッセン
トポス3:≪企業の都市イノベーション≫
野本弘文、細尾真生、ジョエル・ガロー
総括:野中郁次郎
今回の講演者は以下の錚々たる方々でした。(アルファベット順)
ジョエル・ガロー |
![]() 「ワシントン・ポスト」紙 前記者・編集者 |
---|---|
細尾 真生 |
![]() 代表取締役社長 |
中分 毅 |
![]() 取締役副社長執行役員 |
野本 弘文 |
![]() 取締役社長 |
ブロール・サルメリン |
![]() 通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局 イノベーション担当アドバイザー |
サスキア・サッセン |
![]() 教授 |
福田 紀彦 【ビデオ】 |
![]() 市長 |
デイヴィッド・ハーヴェイ 【ビデオ】 |
![]() 教授 |
コーディネーター/総括
羽田 未蘭野 |
![]() |
---|---|
紺野 登 |
![]() (トポス会議発起人) |
野中 郁次郎 |
![]() (トポス会議発起人) |
講演者の数名の方々とお話をしましたが、「都市のオープン・イノベーション」で話をされた、ブロール・サルメリンさん(欧州委員会イノベーション担当アドバイザー)の言われる 「Open Innovation 2.0」 について大変感銘を受けました。坂城町で取り組んでいる、「モノ」から「コト」へも同じような構想です。 (工業社会:「モノの時代」→知識社会:「コトの時代」)
また、細尾真生さん (1688年創業の京都の(株)細尾代表) はとにかく元気な方で、古典的な西陣織を海外に広める活動を積極的に行われています。 坂城町での講演をお願いすることにしました。
野中先生の総括:
創造都市は知識社会が建設するものであり、ナレッジのソース(源泉)である。 デカルト的な都市プランニングではなく、よりボトムアップ、ハートによる町づくりが根本であり、真善美を追及するもので、Art & Science でありマネジメントと同じである。 Common Goods(共通善)を求め、かつ現実を直感しながら進めなければならない。 リーダーシップ力が求められる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
坂城町長 山村ひろし
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